
雪国ならではの「消雪組合」
冬になると道路の真ん中から水が出てくる
9月になり少し日が短くなり、秋の気配を感じるようになりました。
まだまだ暑いが続きますが、この夏にコロナの置き土産を体験するような出来事が
ありました。
雪国・長岡では、冬になると道路の真ん中から水が出ている光景を
よく見かけます。
これは「消雪パイプ」と呼ばれる設備で、地下水を道路に散水して
雪を溶かしています。
この消雪設備の維持・管理を行っているのが、地域の「消雪組合」です。
私の地域にも消雪組合があり、役員は輪番制。
そして今年度、私にも役員の順番が回ってきました。
「まあ、順番だから仕方ないな」
そんな気持ちで前年度の役員から引継ぎを受けたのですが、そこで思いもよらない
一言が飛び出しました。
「それでは、総会をお願いします」
「それでは、総会をお願いします」
「……総会?」
「はい、総会です」
「いやいや、就任したばかりですよね?」
心の中では、思わずそう突っ込みました。
普通なら、一年間活動した前年度の役員が決算や事業報告を行い、総会を終えてから
新しい役員へ引き継ぐものだと思っていたからです。
ところが、なぜか新役員になった私たちが、前年度の決算や事業報告をして総会を
開催することになっていました。
「これは一体、いつからこうなったんだ?」
疑問が残りました。
調べてみたら「犯人」が分かった
コロナ禍で変わった総会
令和2年から始まった異例の運営
そこで、過去の議事録や運営記録を調べてみました。
すると、原因が分かりました。
犯人は……「コロナ」でした。
令和2年、3年、4年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、通常の総会を
開催することができませんでした。
そのため、決算役員会だけを行い、その内容を書面で組合員に報告するという
方法を取っていました。
これは当時の状況を考えれば、やむを得ない対応だったのでしょう。
ところが「非常時の方法」が残っていた
問題は、その後です。
コロナ禍が落ち着いた後も、その方法がそのまま残ってしまいました。
決算役員会で新旧役員を交代し、新しい役員が総会を担当する。
それが、なんと3年間続いていたのです。
「今年もこのやり方で」
「では、新しい役員さんが総会を」
「分かりました」
……というやり取りが、いつの間にか「通常のやり方」になっていたわけです。
まさに、コロナ禍の置き土産です。
誰かがサボったわけでも、間違ったことをしたわけでもありません。
非常時に始めた方法が、非常時でなくなっても残っていただけでした。
「本来の形」に戻そう
過去の記録を調べて分かったこと
平成26年からの記録を確認
さらに、組合が設置された平成26年以降の運営記録までさかのぼって
調べてみました。
すると、本来の運営方法がきちんと残っていました。
一年間活動した現役員が決算役員会を行う。
その後、現役員が総会を開催し、一年間の活動や決算を組合員に報告する。
そして、総会終了後に新しい役員へ引き継ぐ。
これが本来の流れでした。
今年度は「移行年度」
この形なら、どこまでが前年度役員の仕事なのか、どこからが新年度役員の
仕事なのかが明確です。
そこで今年度は、いわば**「本来の形に戻すための移行年度」**としました。
今年は新役員が総会を担当する。
そして来年度からは、一年間活動した役員が総会で報告し、その後に次年度役員へ
引き継ぐ。
これで一件落着です。
「なぜ就任早々、総会なのか?」
という疑問から始まった話でしたが、調べてみれば、ちゃんと理由がありました。
それにしても、身近な組合の運営にも、こんな歴史が隠れているとは思いませんでした。
「引継ぎ」は相続にも通じる
残すこと、伝えることの大切さ
記録があったから、元の形に戻せた
今回の出来事で、もう一つ感じたことがあります。
それは、
**「記録を残しておくことの大切さ」**
です。
過去の議事録や運営記録が残っていたからこそ、
「本来はどういう形で運営していたのか」
を確認することができました。
これは、相続にも通じるところがあります。
相続では、亡くなった方が持っていた財産や大切な情報を、次の世代へ
引き継ぐことになります。
ところが、
「家のことは親しか分からない」
「預金がどこにあるのか分からない」
「土地がどれだけあるのか知らない」
「保険に入っていたかどうかも分からない」
ということがあります。

「そのうち」が一番困る
こうした状態で相続が始まると、残された家族は財産を探すところから
始めなければなりません。
相続で大切なのは、財産が多いか少ないかだけではありません。
「何がどこにあるのか、家族に分かるようにしておくこと」
も、大切な相続対策の一つです。
さらに、誰に何を残したいのかを明確にしておきたい場合には、遺言書という方法もあります。
「まだ元気だから大丈夫」
「相続のことは、まだ先の話」
そう思っているうちに、突然その時が来ることもあります。
9月のお彼岸に「これから」を考える
お墓参りを、家族のことを考えるきっかけに

ご先祖様から、次の世代へ
9月になると、お彼岸でお墓参りをする機会があります。ご先祖様のお墓に
手を合わせながら、
「このお墓は、これから誰が守っていくのだろう」
「家や土地は、将来どうするのだろう」
そんなことを考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
相続について考えることは、単に「亡くなった後の手続き」を考えることでは
ありません。
自分が元気なうちに、家族が困らないように準備しておくことでもあります。
今だからできる「引継ぎ」の準備
財産を一覧にしておく。通帳や保険などの保管場所を整理しておく。
家や土地について家族に伝えておく。そして、自分の希望を
遺言書に残しておく。
こうした準備が、いざというときに家族の大きな助けになります。
消雪組合では、コロナ禍をきっかけに変わってしまった「引継ぎの形」を、
過去の記録を確認することで元に戻すことができました。
相続も同じです。
「そのうち」ではなく、元気な今だからこそできる準備があります。
今年のお彼岸は、ご先祖様に手を合わせるだけでなく、
ご自身の「これから」と、
ご家族への「引継ぎ」について、
少し考えてみてはいかがでしょうか。
相続・遺言の準備は、まず「整理」から
相続や遺言について、
「何から始めればいいのか分からない」
という方も少なくありません。
そんなときは、いきなり難しい手続きを考えるのではなく、まずは現在の財産や
家族関係を整理するところから始めてみることをお勧めします。
行政書士として、遺言書の作成や相続手続きなど、
**「次の世代への引継ぎ」**
のお手伝いをしています。
お彼岸を一つのきっかけに、ご家族のこれからについて考えてみませんか。


